法話

【お彼岸】 ~仏の心に目覚めましょう~

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◆はじめに

「暑さ寒さも彼岸まで」
いわれるほど日本人にとって彼岸という言葉は、一般的です。
「彼岸」が仏教語とは分かっていても、「それじゃあ、お彼岸てなあに?」
聞かれると困ってしまわれる人が多いのではないでしょうか。

◆「お彼岸」とは

数多き人々のうち 彼岸に達するは
まこと かず少なし
余の人はただ この岸の上に
右に左に 彷徨うなり 法句経(八十五)

この言葉は、法句経というお経の一節です。
彼岸とは、彼の岸(理想の世界)に到るという意味です。決して、死後の世界ではありません。
一方、欲にとらわれた迷いの世界を此岸といいます。私たちがいるのがこの此岸です。

◆「煩悩の川」

そして、この両岸の間には煩悩という川が、ゴウゴウと音をたてて流れています。
私たち仏教徒は、煩悩の川に流されないように彼岸にわたることを願いとしています。
さて、私たちが川を渡ろうとする時に、どんな格好で行くでしょう。
濡れてもよい水着のような軽装ですね。まして、重い荷物を抱えたまま行く人はいませんね。
重い荷物とは、欲です。物や金といった欲を担いだままでは、とても煩悩の川を渡ることはできません。
また、着飾った服は、我です。わがままで自分の事しか考えない人も渡ることはできません。

◆おわりに

お彼岸とは、我欲を捨てて仏さまと同じ素直な心に目覚める大切な機会です。