法話

【開山忌】 ~開山さまのご法事~

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◆「開山忌」

開山さまとは、お寺を開かれた初代の和尚様です。
地蔵院では、松雲惠閑という和尚様で応永31年11月15日にお亡くなりになりました。
西暦で云えば、1424年になります。とんちで有名な一休さんが30才の時です。

残念ながら、松雲和尚様のことはよく分かっていませんが、今から600年も昔にこの地にお寺を建てられました。
それから、代々の和尚様と檀家様に守られ支えられて現在の地蔵院があります。ちなみに、私で25代目になります。
「開山忌」とは、開山さまのご法事で毎年ご命日に行います。


◆「はじめ」

はじめという漢字を思い浮かべると、「一」「元」「始」「初」などがあります。
それぞれに字の成り立ちは違いますが、はじめという意味は一緒です。それだけ大事な意味を持っているのです。


◆「初心」

開山さまとちょうど同じ頃に、猿楽を能に発展させた世阿弥という人がいます。
その世阿弥の言葉に「初心忘するべからず」とあります。

今では、はじめの志を忘れてはいけないという意味で使いますが、
世阿弥は更に是非初心・時々初心・老後初心の三つを挙げて、人生の中にいくつもの初心があると言っています。
若い時の初心、人生の時々の初心、そして老後の初心、いつでも初心を忘れてはいけないというのです。


◆おわりに

開山忌とは、開山さまのご遺徳を称えると共にそのお心をいただき伝える法要です。
お檀家様が行うご先祖様のご法事も実は同じです。ご先祖様に感謝して、ご遺徳を偲ぶと共にそのお心をいただき伝えるのがご法事です。

ご先祖様は過去の存在ではなく、今の私たちの心を正す指針です。
今年は、大変な年ですが開山さま、ご先祖様のお心を大切に受け継いで行きたいと思います。