法話

【無憂樹】 ~花の教え~

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◆はじめに

無憂樹という木があります。別名をアソカノキといい、黄色や赤色の花をつけます。
お釈迦様の誕生にまつわる木で、お母様のマーヤー夫人がこの花に手を伸ばした時に産気づいたと言われています。

また、インドでは出産・誕生・結婚にかかわる「幸福の木」とされています。


◆「憂い無し」とは

「憂」という字は、心と頁から成り心配ごとが顔に表れることから「うれえる」の意味になります。
子供の誕生時には、その健やかな成長を願って憂いが無いように祈るのは当然のことです。

しかし、悩みや心配事の無い人生はありません。
お釈迦様とてそうでした。
他の人よりも多く悩み苦しんで修行者として出家の道を選んだのでした。


◆「眠れぬ者に夜は長く」

お釈迦様の教えが記された経典の中には「眠れぬ者に夜は長く、疲れた者に一里は長い」と説かれています。

つまり、人は本来休むべき夜に疲れを取り去って、明日に備えるものです。

それなのに、憂いによって眠れないのであれば、心身共に疲れ果て日常の生活もままなりません。
誰もが悩みや心配事を抱えています。

特に今は、新型コロナウイルスの影響で普段とは違う生活を余儀なくされていますので、余計なストレスも重なります。
だからこそ、悩みや心配事に必要以上に振り回されないことが大切です。


◆「花の教え」

新型コロナウィルスの中にあっても花は、時期が来れば美しく花を咲かせます。
誰に見られなくとも精一杯に命を輝かせています。


◆おわりに

「花が咲いている 精一杯咲いている 私たちも精一杯生きよう」

これは、松原泰道という僧侶の言葉です。

悩みが無くならないならば、それに振り回されることなく、自分の出来ることを精一杯に努めて行く。
それが、無憂樹に込められたお釈迦様のメッセージです。