法話

『因縁』 ~ご縁を大切に~

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◆はじめに

忙しいお盆前の7月末の出来事でした。
腹部に赤い発疹が現れました。一つでなく、離れて三つ四つ。
虫刺されかとも思いましたが、昨年の嫌な記憶がよみがえってきました。

昨年のお盆は、新型コロナウイルスの影響でこれまでに経験したことのないものでした。
うだるような夏の暑さとマスクの中、耐えがたい厳しさを乗り越えてホッとした9月の初め、
生まれて初めて帯状疱疹にかかりました。

今年もかと思い、病院で診てもらうと虫刺されですと言われました。
いただいた塗り薬を使って1週間ほどで収まりました。
お医者さんの診断が正しかったと思うと同時に、間違った処方をしなくて良かったと考えてホッとしました。


◆「因縁」とは

すべては因縁によって生じているとお釈迦様は説かれました(因縁生起)
つまり、原因(因)を知って正しく対処、行動(縁)すれば、良い結果(果)を得ることが出来ます。

私の発疹の場合は、虫刺されが原因で薬を塗れば発疹と痛みが治りました。このようにとても論理的な考え方です。

ところが、「因縁」という言葉が間違った意味で用いられています。


◆「原因と条件」

仏教では、「因」「縁」は共に原因を意味します。
「因」(梵: hetu) ヘートゥといい直接的原因を、 「縁」(梵: pratyaya)プラットャヤといい間接的原因(条件)を意味します。

わらべ歌で例えると「お寺の和尚さんが、かぼちゃの種をまきました。芽が出てふくらんで、花が咲いて実がなって・・」
この場合は、かぼちゃのとして、 それを発芽させ結実させる条件として実がなります(因縁果)

このようにすべては因縁によって生じています。

お釈迦様以前のインドの一般的な考え方は、運命論・宿命論であり、物事は生まれた時からすでに決まっているとしました。
それを真っ向から否定したのが、「因縁」です。


◆おわりに

「因縁」とは恐れるものではなく、 原因条件によって結果が現れるという論理的な思考です。
しかし、条件とは、無数のものが重なり関わりあってゆくものです。

私たち自身の存在もそうで、両親や友人、その他たくさんの周りのによって生かされています。
ですので、常に周りに感謝の気持ちを忘れずに、ご縁を大切にするという努力が必要です。