【心の掃除】 ~今年の汚れは今年の内に~
法話を音声でお聞きになりたい方は、「再生」ボタンを押下して下さい。
◆はじめに
師走を盛り上げたのは、サッカーワールドカップ、日本代表の熱い戦いでした。 強豪チームを倒した試合結果だけでなく、試合後の整理整頓されたロッカーや客席をゴミ拾いして去る日本人サポーターの姿が海外で称賛されました。
◆「心を整える」
前回のロシア大会までキャプテンとしてワールドカップに3度出場した、長谷部誠選手は次のように語っておられます。 「整理整頓は心の掃除に通じる。試合に負けた次の日などは、何もしたくなくなって、部屋が散らかってしまうときがある。 あの 場面でああすれば良かったという未練や悔しさが消えず、自分の心の中が散らかってしまっているからかもしれない。 そんなときこそ、整理整頓を面倒くさがらなければ、同時に心の中も掃除されて、気分が晴れやかになる」と。 心を整えることの大切さを教えてくださいます。
◆「心の垢を除く」
『法句経』というお経の中で、お釈迦さまは次のように説いておられます。 「聡明な人は順次に少しずつ、たえず、自己の汚れを除くべきである。鍛冶工が銀の汚れを除くように」 お釈迦さまは、チューラパンタカという弟子に真っ白な雑巾を渡して 「塵を払え、垢を取れ」 と唱えなさいと教えます。 しばらく経つと雑巾が汚れてきます。それに気づいたパンタカは、 「はじめは白かった雑巾が塵と垢で汚れてきた。いつまでも同じ状態でとどまっているものは、この世にはない。無常なのだ」 と考えました。 その時にお釈迦さまは、 「雑巾だけが汚れるのではない、人の心も煩悩の塵や垢で汚れる。心の垢を取り除きなさい」 とお説きになります。
◆おわりに
目に見える汚れには気が付いても、心の汚れは気付きにくいものです。 忙しい年末だからこそ、少し立ち止まって心を整えることが大切ではないでしょうか。 今年の汚れは今年の内に、部屋の中も心の中もきれいにしましょう。